生体内において、ミトコンドリアDNA (mtDNA)は高度に折りたたまれ、凝縮したミトコンドリア核様体として存在する。そして、ミトコンドリアゲノムの基本的な機能である複製や転写は、そのような高次構造をとったDNAのなかで効率よく、かつ正確に営まれている。これまでに、非常に凝縮した大型ミトコンドリア核様体を持つ真正粘菌(Physarum polycephalum)を用いて、ミトコンドリアヒストン様タンパク質であるGlomを同定し、ミトコンドリア核様体内におけるその機能を解析してきた。本研究では、ミトコンドリア核様体の分子構築とDNA機能制御機構を明らかにするために、Glomおよび他のDNA結合タンパク質について解析を行っている。 本年度は、3種類のDNA結合タンパク質(34kDa、38kDa、56kDa)についてゲルシフト、免疫染色などを用い、機能解析をおこなった。その結果、56kDaタンパク質はDNA結合能をもち、ミトコンドリア核様体全体に局在することがわかった。一方、38kDaはDNA結合能をもつが、ミトコンドリア全体に存在していた。さらに、34kDaタンパク質は、弱いDNA結合能をもち、ミトコンドリア核様体の周辺に局在していた。また、34kDaタンパク質は、DNaseと相同性があり、実際に精製した34kDaタンパク質を用いてDNase活性があることを確認した。 さらに、ミトコンドリア核様体タンパク質をMas/Masを用いた解析を行い、Lon protease、Topoisomrase、DNA polymerseの一部の配列を同定した。現在、全長のクローニングを行っている。
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