研究概要 |
森林総合研究所微生物生態研究室が所有する「サルノコシカケ類」の現在の分類体系における主要な属74属より、基準種およびアジアを中心に汎熱帯域、熱帯から亜熱帯にかけて分布する種、あるいはアジア地域の温帯から冷温かけて分布する種を選定した。基準種37種(日本産菌株)を含む合計99種よりDNAを抽出した。核rDNAのLSU領域、SSU領域等の他に、一部の菌株についてはITS領域の塩基配列を決定した。これらの領域は国際的にデータが蓄積され、特に欧米のデータと比較可能であるが、高次分類群の系統関係についてはこれらの領域のみでは明瞭な関係が見いだされない場合が多い。そこで近年担子菌類の系統分析に広く使われるようなったRPB2(RNA polymerase II second largest subunit)、およびEF1α(Elongation factor 1 Alfa)、一部の属についてはb-tubulin, Heat shock protein, glyceraldehydes-3phosphte dehydoro genase領域等のコード領域および非コード領域についてもいくつかの種について配列を決定し、これらの領域の有効性を検討した。核rDNAのLSU領域のみでは困難であった高次分類群の関係についてもRPB2領域など複数領域を組み合わせることによって、比較的高次分類群までの関係が明らかになる可能性が示された。
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