本研究課題において、ヘパラン硫酸糖鎖構造の多様性の神経回路形成の制御機構の解明を目指し、マウス子宮内胎仔脳へのエレクトロポレーション法による遺伝子導入により糖鎖構造を改変するため、その実験系の確立に着手した。 プロテオグリカン糖鎖を改変するため、基本骨格であるEXT1遺伝子のノックダウンsiRNAを検討行い、ノックダウン効果を示す、有効な配列を特定した。さらに、shRNA発現用プラスミドの構築を行った。また、基本骨格糖鎖合成遺伝子、また、グリコサミノグリカン鎖修飾遺伝子に関して、遺伝子改変後の成果を判定する手段として、real-time PCR法によるmRNA量の定量法を確立した。 本研究成果により、in vitro培養細胞系において、shRNA発現ベクターを用いたEXT1遺伝子のノックダウンに成功した。また、ひとつの遺伝子をノックダウンしたとき、他の糖鎖修飾関連酵素の遺伝子発現量の変化も観察することが可能となった。今回、EXT1遺伝子のみを行ったベクターを用いたノックダウンの実験系を、同様にして、他のグリコサミノグリカン鎖修飾遺伝子にも適応することで、さらに詳細な糖鎖構造の改変を可能にし、ヘパラン硫酸糖鎖構造の多様性の機能を解析することが可能となった。
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