研究概要 |
本申請の研究目的は、リグニン分解代謝系の基質特異性・四次構造などが異なる数種のExtradiol型二原子酸素添加酵素(DesZ酵素、DesB酵素、LigAB酵素など)の高精度立体構造(1.5Å以上)をX線結晶構造解析の手法により明らかにし、酵素活性データ、変異体酵素を組み合わせて総合的に解析することで、Extradiol型二原子酸素添加酵素全体における多様な基質特異性の起源と反応機構を立体構造にもとづいて明らかにすることを目指す。 本年度は以下に示した1,2の成果を得ることができた。 1 DesB酵素の結晶化条件の確立およびX線回折強度データ測定 本酵素を大腸菌により発現・精製したものを用いて、結晶化条件の探索を行ったところ、微少な結晶を得ることができた。この結晶化条件に関わる因子に対して、最適化を行ったところ、1.8Å分解能を超える結晶を得ることに成功した。 2 DesB酵素の初期モデル構築 上記結晶におけるX線回折強度データに対して、分子置換法(LigAB酵素をサーチモデル)によりDesB酵素の初期モデルを構築した。現在、精密化プログラム(CNS, REFMAC)により構造を精密化している。 今後、DesB酵素に関しては、詳細な立体構造を明らかにし、基質複合体、変異体酵素の調製を行っていく。また、他の酵素に関しては、さらに結晶化条件の改良を行い、立体構造解析を可能としていく。
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