研究概要 |
●糖鎖-チオール化合物の合成---糖鎖微粒子作製の鍵化合物として、チオール(-SH)基と、糖鎖還元末端のアルデヒド基と選択的に反応する糖鎖捕捉官能基(-ONH_2,-NHNH_2など)をもつ化合物を合成する。本研究においては、2腫のリンカーの合成を行った。一つ目は安定な自己組織化を促進する長鎖アルキル鎖、および高い水溶性を持つPEG(polyethelene glycol)構造を持つアミノオキシ型糖鎖補足リンカーである。二つ目は長鎖アルキル鎖およびMSによるイオンか効率の高いジペプチド(トリプトファン-アルギニン)構造をもつヒドラジド型リンカーである。両化合物のアルキル鎖末端にはチオール基が導入されている。これらの化合物を遊離のキトビオース糖鎖と水中で反応させることにより、末端に糖鎖を持つ水溶性のチオール化合物を合成した。 ●蛍光性糖鎖微粒子の作製---合成した糖鎖-チオール化合物を量子ドット表面に導入した。市販の量子ドットは表面に酸化リンを含む有機ポリマーが疎水的相互作用によって吸着している。量子ドットを過剰のチオール化合物と溶液中で反応させることで量子ドット表面金属-S結合が形成される。この方法によって合成したキトビオースを持つチオール化合物を量子ドット表面に結合させ、量子ドット-糖鎖複合体を作製した。表面のGlcNAcに対してガラクトース転移酵素によりガラクトースを導入し、フコース転移酵素のアクセプター基質となる糖鎖構造を構築した。 ●蛍光糖ヌクレオチドの合成---6位に蛍光基を導入したGDP-フコース誘導体の化学合成を行った。量子ドットの蛍光波長に相当する励起波長を持つ蛍光基としてテトラメチルロダミンンを選択した。合成した糖ヌクレオチド誘導体を用いてフコース転移酵素による糖転移反応を行い、当該誘導体がフコース転移酵素の基質になることを確認した。
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