研究課題
セラミド近年、セラミド(Cer)は細胞内脂質セカンドメッセンジャーとして細胞周期の停止やアポトーシスの誘導に関与することが明らかになり注目を集めてきた。しかし、Cerの細胞内における直接のターゲットが明らかになっていない為に、Cerの代謝産物や代謝酵素のCerシグナルにおける役割も重要視されつつある。我々はCer代謝酵素であるセラミドキナーゼ(CERK)に注目し、本酵素の生理的役割を明らかにすべく本研究を遂行してしる。本年度の研究計画では、(1)抗CERK抗体の作製、(2)CERKのCa^<2+>による活性化機構の解明、(3)PHドメインを中心とした機能解析を行なうこととなっている。(1)に関しては、CERK全長を抗原とした抗体を作製し、その特異性を確認し現在CERKの機能解析に用いている。(2)に関しては、CERKがカルモジュリンを介してCa^<2+>に対する親和性を上げ、細胞内で活性化されていることを明らかにし、米生化学会誌において発表した(J.Biol.Chem. 2005)。(3)に関しては、CERKの細胞膜への移動にはPHドメインとプォスフォイノシチドとの結合が重要であることを明らかにし現在論文を投稿中である。また、このPHドメインがCERKの活性にも重要であることを明らかにした(FEBS lett. 2005)。さらに、これらの研究計画以外にも、CERKの機能解析に有用であるCERK阻害剤,類似酵素であるスフィンゴシンキナーゼの阻害剤の開発に成功した(Bioorg.Med.Chem.2005)。興味深い事に、この阻害剤は、以前の研究でCERKの関連が示唆されていたマスト細胞モデル細胞(RBL-2H3)の脱顆粒を阻害した(Biochim Biophys Acta.2005)。この結果から、顆粒の放出にCERKが関与することを確認する事ができた。神経細胞におけるCERKの役割が、神経伝達物質の放出等にある可能性が示唆された。また、CERKの基質となるCerがケラチノサイトに於いては、異なる産生経路を持つことを提唱した(J.Biochem.)。
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J.Biochem. 139
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ページ: 4383
Biochim Biophys Acta. 1738
ページ: 82
Bioorg.Med.Chem. 13
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