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2005 年度 実績報告書

ヒアルロン酸合成阻害剤を用いた抗線維化療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17770106
研究機関弘前大学

研究代表者

柿崎 育子  弘前大学, 医学部, 助手 (80302024)

キーワードヒアルロン酸 / 4-メチルウンベリフェロン / 合成阻害 / 線維化
研究概要

[目的]
ヒアルロン酸は、細胞表面などに存在し、癌の増殖や転移を促進したり、血栓の形成や臓器の病的な線維化(例;肝臓の線維化の終末像は肝硬変)の過程で過剰に蓄積し、これらの病変の悪性化を促進することが報告されている。本研究では、我々のグループが発見し、作用機構の一部を明らかにしたヒアルロン酸合成阻害剤4-メチルウンベリフェロン(MU)を用いて臓器の線維化を制御できるかどうかを検討するための基礎的な研究を行う。本年度は、以下の知見を得た。
[結果]
1)MUの経口投与によりヒアルロン酸合成量を低下させたマウスの作製に成功した。具体的には、MUの血中濃度の測定および代謝産物の分析を行い、MUの投与方法として経口投与が最も効率が良いことを見出し、MUを投与したマウスの各種臓器のヒアルロン酸量の低下を確認した。
2)MUによりヒアルロン酸合成量を低下させたマウスに、悪性腫瘍であるマウスメラノーマ細胞を移植して、メラノーマ細胞の遠隔転移が抑制されることを見出した。また、MUでヒアルロン酸合成量を抑制したメラノーマ細胞を正常なマウスに移植しても同様の結果が得られた。
3)培養膵癌細胞にMUと抗癌剤を投与した結果、抗癌剤による増殖抑制が増強された。
4)マウスの脾臓に膵癌細胞を移植し、MUと抗癌剤を投与した結果、脾臓における腫瘍の形成が抑制された。従って、細胞表面のヒアルロン酸を低下させてやると薬物の透過性が増すことにより、効果が増強されることが示唆された。
5)4)のとき、肝臓への転移も抑制された。
以上の結果から、癌の補助療法へのMUの応用が期待される。癌と同様、ヒアルロン酸の過剰な蓄積による線維化の抑制にも効果が期待できると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 4-methylumbelliferone, a hyaluronan synthase suppressor, enhances the anticancer activity of gemcitabine in human pancreatic cancer cells.2006

    • 著者名/発表者名
      Nakazawa, H., et al.
    • 雑誌名

      Cancer Chemother.Pharmacol 57・2

      ページ: 165-170

  • [雑誌論文] The glycophorin C N-linked glycan is a critical component of the ligand for the Plasmodium falciparum erythrocyte receptor BAEBL.2006

    • 著者名/発表者名
      Mayer, D.C., et al.
    • 雑誌名

      Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A. 103・7

      ページ: 2358-2362

  • [雑誌論文] The effects of glycosaminoglycans thrombopoietin-induced megakaryocytopoiesis2006

    • 著者名/発表者名
      Kashiwakura, I, et al.
    • 雑誌名

      Haematologica 91・4(in press)

  • [雑誌論文] A hyaluronan synthase suppressor, 4-methylumbelliferone, inhibits liver metastasis of melanoma cells.2005

    • 著者名/発表者名
      Yoshihara, S., et al.
    • 雑誌名

      FEBS Lett. 579・12

      ページ: 2722-2726

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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