研究課題
エンドソームは細胞膜及びゴルジ体から輸送された物質の選別を担う。リソソーム内腔へ輸送される物質はエンドソームにおいてその内部小胞に選択的に取り込まれる。CHMPファミリーはヒトにおいて10種報告されているタンパク質群であり、その多くがエンドソームの内部小胞形成時に動員されるが、その分子基盤及び機能の詳細は不明である。本年度はCHMPファミリーの相互作用タンパク質の結合特異性に着目し、以下のことを見出した。CHMPファミリータンパク質間の相同性の高い領域をカルボキシル末端側に有し、さらにアミノ末端側にユニークな領域が存在する新規タンパク質をデータベースから同定し(CHMP7と命名)、そのカルボキシル末端にCHMP4が特異的に相互作用することを酵母Two-Hybrid法により見出した。動物細胞発現系を用いCHMP4bとCHMP7の結合を確認した。また、両タンパク質は動物細胞内で共局在していた。カルパイン7がMIT(microtubule interacting and trafficking)領域を持つことからヒトCHMPファミリーとの相互作用を網羅的に解析したところ、CHMP1A、CHMP1B及びCHMP4cとの結合が確認された。また、カルパイン7の緑色蛍光タンパク質との融合タンパク質はHeLa細胞において一部エンドソーム様の局在を示し、エンドサイトーシスさせた蛍光ラベルしたEGFと共局在した。カルパイン7はCHMPとの結合を介してエンドソーム膜に動員されている可能性がある。Ca^<2+>結合タンパク質ALG-2がCHMP4bの過剰発現によって形成される奇形エンドソームに局在することを報告した。ALG-2はAlix、TSG101など複数のエンドソーム関連因子と相互作用することから、Ca^<2+>依存的アダプタータンパク質としてエンドソーム膜上で機能している可能性が考えられた。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (3件)
Biochemical Journal 391・Pt3
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