研究課題
<FRET法によるダイニン構造変化の動的解析>ダイニン重鎖内に蛍光タンパク質であるGFPとBFPを導入し、そのFRETの動的変化を検出することにより、以下の点を明らかにした(投稿論文として報告)。1.ダイニン重鎖はその結合ヌクレオチドの状態により、構造的に異なる2つの状態(State-IとState-II)をとる。2.State-IからStage-IIへの構造変化はATP結合後かつその加水分解の前におこり、State-IIからState-Iへの変化はATP加水分解後のADP放出直前におこる。後者の構造変化がダイニンのパワーストロークに相当すると思われる。3.4つのATP結合・加水分解部位のうち、AAA1モジュール内に存在する1番目のATP加水分解部位がこの構造変化に直接共役している。また、AAA3及び、AAA4のATP加水分解部位は、AAA1におけるATP加水分解サイクルを直接もしくは間接的に制御している。<4つのATP結合部位の機能解析>従来使用されている蛍光ATPの大部分はダイニンには機能しないことが明らかとなり、このサブテーマは難航したが、Mant-ATPおよびMant-ADPは機能することを見出した。これらMant-ラベルヌクレオチドとダイニン内在性トリプトファンとのFRETを測定することで、少なくとも2つ以上のATP結合・加水分解部位へのヌクレオチドの結合解離を検出することが可能となった。現在その詳細を検討している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (1件)
Nature Struct. Mol. Biol. 12
ページ: 513-519