研究概要 |
循環系フロー法を用いた新規時間分解赤外振動分光法の作製と測定に関する種々の条件の決定を行なった。赤外分光用の1次元検出器(256チャンネルMCT)、グローバー光源、フローセル(フッ化カルシウム製,0.2mmx0.2mm)を用いて新規時間分解赤外分光光度計を組み立てた。一酸化炭素結合型チトクロムc酸化酵素を測定したところ、ν_<C-O>由来の吸収帯の検出に成功した。市販の装置(フーリエ変換赤外分光計,FTIR)を用いた場合、上記の条件での検出は不可能である。次に検出用赤外光の上流の各部に反応開始用のポンプ光をずらして照射する実験を行なった。その結果500μmの空間分解能で時間分解測定ができることがわかった。これらのことを踏まえて、一酸化炭素結合型チトクロムc酸化酵の光乖離-再結合の時間軸にそった反応追跡を行ない、反応開始後0ms、20ms、40msの時間分解赤外吸収スペクトルの測定に成功した。これらの結果から見積もられる再結合速度定数はこれまでに報告されている値と一致したことより、ここに新規時間分解赤外分光光度計が完成したことが示された。
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