研究概要 |
シャペロニン(CPN)はATP依存的に基質である変性タンパク質をリフォールディングする代表的なシャペロンである。一方プレフォルディン(PFD)は変性タンパク質を補足し、CPNへ受け渡すと考えられているが、詳細な機構は未解明である。本研究では基質タンパク質の受け渡し機構を明らかにすることを目的としている。これまでに申請者は、観察に用いるCPNの検討を行ったところ、超好熱性古細菌Thermococcus sp.strain KS-1由来のCPNホモオリゴマー2種(αCPN,βCPN)に関して、Pyrococcus horikoshii OT3由来PFD(PhPFD)に対するαCPNの親和性がβCPNより著しく小さいことを見出し、これを利用してCPN-PFD間相互作用の解析を行ってきた。 その結果、βCPNとαCPNの配列比較より2つのアミノ酸(250/256)がCPN-PFD相互作用に重要であることを見出した。αCPNのこれらのアミノ酸をCPN型に置換した変異体αK250E/K256Eを構築し、PhPFDとの相互作用を解析したところ、同変異体はPhPFDとの親和性がβCPNと同程度まで増した。さらにGFPを用いたPFDからCPNへの受け渡し観察系を構築し、受け渡し速度を測定したところ、PhPFDとCPNの親和力と基質受け渡しに相関があることが示唆された。さらに蛍光異方性測定により、生理的条件化でのPFDとCPNの相互作用測定を行ったところ、結合定数にヌクレオチド依存性が観察され、CPNが開いた構造をとっているときにPFDが強く結合することが明らかとなった。これらの結果より、PFDからCPNへの基質受け渡しメカニズムモデルを提案した。
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