研究課題
本研究では、天然条件下で中間的状態をとる大腸菌EspBの分子認識機構とそれに伴う立体構造変化について、解明する。平成17年度は、特にEspBのターゲットになるαカテニンについて、その変異体を作成し、蛍光偏光解消法を用いて、EspBとの相互作用における結合定数の変化から、分子間相互作用部位の同定を主なる目的として行った。いくつかの変異体を作成し、解析を行ったが、顕著に結合定数が変化する変異体を得ることは難しかった。一方、αカテニンの本来の結合相手であるヴィンキュリンに対して、同変異体は結合定数の低下を示した。これは、リジッドな構造を形成しているヴィンキュリンとは異なり、EspBの持つ構造フレキシビリティーが、変異に対する寛容性を保持していることを示唆している。また、面白いことに、EspBのターゲット分子として、新たにヴィンキュリン、ZO-1などが本研究で、明らかになった。これより、EspBの構造フレキシビリティーが、多様なターゲット分子認識にとって、有利に働くことが示唆された。現在、上記の反応系に対する、詳細な解析を行うため、EspBの異核種NMRによる解析を進行しつつある。特に本蛋白質に対する重水素化ラベルが、解析に有効であることを示唆する予備実験データを得ている。また、異核種NMRによるαカテニンのC末端ドメインの主鎖の同定についても、同様な手法により進行中である。さらに今回上記で得られた情報からヴィンキュリン、ZO-1のEspB結合ドメインについて、同様な情報を得ることが現在の課題である。
すべて 2006 2005
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