我々は、1)APCがRING fingerタンパク質Neurodap1と結合してユビキチン化をうけプロテアソーム依存性に分解をうけること、2)PC12細胞をNGFで刺激するとこのNeurodap1によるAPCの分解が亢進すること、3)APCやNeurodap1の発現をRNAiによって抑制するとNGFによる神経突起伸長が抑制されることを見出し、神経突起伸長におけるAPC、Neurodap1の重要性を明らかにすることを目的として研究を進めてきた。 1)Neurodap1によるAPCの分解誘導がNGFによる突起伸長に重要であることを証明するため、APCとNeurodap1の結合を阻害する活性をもつNeurodapのdominant-negative変異体を作製した。これをPC12細胞に発現するとNGFによる突起伸長が阻害されることが明らかとなり、Neurodap1とAPCの結合、ひいてはAPCの分解が突起伸長に重要であることが示唆された。 2)さらに、Neurodap1と結合できるがユビキチン化を受けないAPCの変異体の作用を調べ、この変異体によってNGFによる突起伸長が阻害されることを明らかにした。この結果からも、Neurodap1によるAPCのユビキチン化、分解の重要性が確認された。 3)1)、2)の実験条件下で、APCのgrowth coneへの集積が低下していることが明らかとなった。APCのNeurodap1の代謝回転増大がgrowth coneへの集積に重要である可能性があると考えられる。 4)初代培養小脳神経細胞を用いて、BDNFによりAPCの代謝回転が亢進することを明らかにした。 5)Neurodap1ノックアウトマウスの初代培養小脳神経細胞は突起伸長が低下していることを見出した。
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