研究代表者らは、これまで染色体の構造理解を目的として研究を進め、染色体凝縮に必須なTopoIIαとCondensinがいずれも染色体中に軸状に存在すること示した。さらに電子顕微鏡を用いた免疫金染色により、クロマチンがループ状に中心部から放射状にのびており、CondensinとTopoIIαがその根元付近に存在することを明らかにした。研究代表者らはこれらの研究にさらに進めて、透過電子顕微鏡tomographyをもちいた染色体の3次元再構築をおこない、クロマチンorganizationを解析している。TopoIIαは染色体凝縮に必須であり、Condensinとともに染色体軸を形成する。このため、TbpoIIαのヒトゲノム上の結合部位の同定はゲノム構造を知る上でも非常に重要である。またTopoIIαは阻害剤であるVP16を用いることにより、細胞中でゲノムDNA上に共有結合させることができる。このことを利用し、TbpoII阻害剤で処理した染色体DNAをそれぞれ調製し、TopoIIαが共有結合したDNA断片を抗TopoIIα抗体で精製した(Chromatin IP)。このDNA断片を用いて、東工大白髭グループと共同で、ヒトゲノムchip-on-chip解析をおこない、ヒトゲノム上でのTopoIIα結合領域のマッピングをおこなった。ヒトゲノムの約1%をカバーするENCODEチップをもちいた実験では、TbpoIIα結合領域がGpG islandやゲノム上の遺伝子密度と高い相関を持つことを見い出した。
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