研究課題
オートファジーは細胞質成分をリソソームへ輸送するシステムであり、ほとんどの長寿命タンパク質や一部のオルガネラはこの経路で分解される。動物細胞のオートファジーの生理的役割としては、飢餓時に誘導されて糖新生やエネルギー産生の材料となるアミノ酸の供給や基底レベルでの恒常的なタンパク質代謝による細胞内品質管理に寄与することが明らかになっている。しかし、オートファジーの制御機構についてはほとんど明らかにされていない。これまでに、TOR(栄養センサー)を介するシグナル伝達系がオートファジー制御に関与することが明らかになっている。また、細胞内アミノ酸濃度がオートファジー制御に関わる可能性が高いので、その主要センサーであるGCN2(アミノ酸センサー)も哺乳動物オートファジー制御に機能することが予想される。しかし、これらのセンサー分子のオートファジー制御に関する分子メカニズムについては十分に理解されているとは言い難い。さらに、オートファジー誘導シグナルがどのような分子機構でオートファジー関連因子に伝達されるかは全く分かっていない。申請者らは今回、エネルギーセンサーであるAMPK(AMP-activated protein kinase)が哺乳動物Atg(酵母オートファジー関連遺伝子)ホモログの一つと結合することを明らかにした。この事実はオートファジー研究が抱える最大のブラックボックスの一つであるオートファジー関連因子へのシグナル伝達機構の理解において重要な突破口になると考えられる。
すべて 2006
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Nature. 15・441
ページ: 819-820
Autophagy. 2・4
ページ: 302-304