研究課題
本年度は計画に従って、微量試料におけるコラーゲンの抽出条件を検討した。エッペンドルフチューブ(2mL)を利用した、前処理系で50mg程度のサンプルからコラーゲンを抽出することが可能であると確認された。しかし、放射性炭素年代測定の結果、石油製品由来の外部炭素の混入が認められたため、原因を追求したところ、微量試料用の凍結粉砕装置からの混入が考えられた。現在、使用するチューブの素材などを変更して、この汚染を低減する方法を検討しているところである。また抽出物に対するアルカリ処理による土壌有機物の除去法は、古人骨の場合、著しく回収率が低減してしまうことを確認した。これは、本研究の目的である形態学的な情報をできるだけ損なわない前処理方法の開発には、クリアーする必要がある。そこで、土壌有機物の除去に効果があると報告されている限外ろ過フィルタを使用して、分子分画3万ダルトンよりも小さい分画を除去する方法を検討した。遠心分離によって限外ろ過をする方法と、気体による加圧によって限外ろ過する方法の2つがあり、それぞれについてその効果を検討した。その結果、どちらの方法でもフィルタからの汚染はなく、効果的に土壌有機物を除去できることが確認された。汚染が重篤な試料の場合、過熱してコラーゲンが分解した状態で限外ろ過を実施すれば、より効果的に土壌有機物を除去できるものと期待される。現在、考古学試料を用いて、その効果を検討しているところである。
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