研究課題
本年度はまず、茎頂分裂組織の維持と葉序の決定に重要であるDEC遺伝子の遺伝子単離を目的とし解析を行った。DEC遺伝子は第12染色体の組換えが抑制されている領域に座乗しており、すでに3000を越える集団を用いてマッピングを行っているが、遺伝子の同定には至っていなかった。そこで領域内の候補遺伝子を全てピックアップし、配列を変異体と比較する手法に切り替え、解析をおこなった。その中には多数のトランスポゾンと思われる遺伝子があったが、これまで発生に関わると報告のある遺伝子は認められなかった。現在、アノテーションの情報などから、10個程度の候補遺伝子に絞り込み、それらの配列を決定しているが、変異の同定には至っていない。またdec変異体のアリル候補であった00T-γ-144変異体は、PCRの結果などから、DEC遺伝子を含む大きな領域に欠失があり、dec変異体のアリルであることが強く示唆された。一方、葉の形態異常や茎頂分裂組織の維持に異常を示すFSM突然変異体についてファインマッピングを行い、原因遺伝子を特定した。この遺伝子は細胞分裂に関係の深い遺伝子であった。イネの葉原基分化と茎頂分裂組織の維持に重要な機能を果たしているSHOとSHL遺伝子の解析においては、下流の制御因子であるホメオボックス遺伝子の発現を観察し、これらの遺伝子が葉の形態形成や茎頂分裂組織の維持に重要な役割を果たしていることを示した。また、この遺伝子と関わりの深いmicroRNAの組織での検出に成功し、SHL/SHO遺伝子、転写因子、microRNAの間の組織レベルでの関係を明らかにした。また、葉の分化速度を制御するPLA2遺伝子については、変異体の詳しい発生学的な解析により、葉の成熟という新しい制御過程に関わっていることが明らかとなった。
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Plant Cell 18
ページ: 612-625
育種学研究 7・別1,2
ページ: 181