研究概要 |
キキョウシステインプロテアーゼ(CPase)遺伝子PgCP1のプロモーター領域に存在する応答配列(cis制御因子)およびそこから推定されるPgCP1の発現制御要因を検討した. 1.PgCP1遺伝子のプロモーター領域に含まれる応答配列の探索 ゲノムDNAを鋳型としたTAIL-PCR産物の塩基配列を決定した.3'末端側の配列はPgCP1 cDNAの5'末端側の配列と一致しており,PgCP1のプロモーター領域を含むと判断した.開始コドンの上流領域0.7kbの塩基配列を,植物のcis因子データベースで解析したところ,エチレン応答因子(ERE)様の配列が発見された.現在,さらに上流領域の解読も含め,他の制御因子を探索している. 2.PgCP1遺伝子の発現制御要因の検証 上記プロモーター領域の解析結果から,エチレンがPgCP1の発現誘導要因の1つである可能性が示唆された.そこで花の自然老化時のエチレン生成パターンを再検討したところ,雄蕊展開時の花で検出されることが判明した.しかしエチレン生成開始前の花弁でもPgCP1は発現していることから,エチレン以外の発現誘導要因も関与する可能性が示唆された.花弁のプロテアーゼ活性は自然老化時に次第に増加し,外生エチレン処理によっても増加した.現在,外生エチレンに対するPgCP1の応答性を解析している. 3.複数種のPgCP遺伝子が花弁老化に関与する可能性の検討 ノーザン分析ではPgCP1転写物およびサイズがわずかに異なる転写物のシグナルが,開花直後の花弁でより明確に検出された.そこでPgCP1 cDNAの単離に用いたプライマーセットを用い,開花時花弁の全RNAを鋳型に,低アニーリング温度条件でRT-PCRを行った.その結果約0.5kbの増幅断片が得られた.現在この増幅産物のクローニングを行い,PgCP1以外のCPase遺伝子cDNAを探索している.
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