研究概要 |
キクの花成誘導は主に日長(短日要求)により制御されている.しかしながら,日長以外に花成を制御する要因に温度ならびに植物ホルモンがある.そこで本課題では,キクの花成における日長と日長以外の要因との関連についての知見を収集することを目的として試験を行った。なお,栽培ギクは6倍体であり,遺伝子解析を進める上で困難が予想される。そこで,本年度は栽培ギクのモデル系としての2倍体野生種キクタニギクの利用の可能性について検討するとともに,本種より花成関連遺伝子の単離を試みた。 キクタニギクは栽培ギク同様の生態特性を示し,1)花成に短日要求を示すこと,2)夏の高温遭遇後,涼温,短日条件下で形態的にロゼットを形成し花成誘導が困難になること,3)いったんロゼットを形成した場合,花成誘導には短日誘導以前の低温遭遇が必要となること,4)低温が花成促進要因として作用するばかりでなく,抑制要因としても作用することが確認された。本結果は,キクタニギクは栽培ギクの花成制御機構解析のモデルとして利用できることを示し,今後の課題遂行に大いに活用できるものと期待される。また,キクタニギクより,花成に関わる鍵遺伝子と推察される7種類の花成関連遺伝子を単離した。現在,これら遺伝子を利用し形質転換用コンストラクトの作成を進めている。
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