研究課題
本研究では、プロテオーム及びマクロアレー技術を植物栄養学の分野に取り入れ、根粒で発現している炭素代謝関連酵素の発現減少による根粒内のタンパク質・遺伝子を網羅的、系統的に解析し全体像を検索した。これまでにミヤコグサ根粒で強く発現しているC4光合成関連酵素(PEPC:ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ)を欠損させた形質転換体(Asppc)を作製した。作製した形質転換体は根粒を着生したが窒素固定能の減少がみられた。この変異体を用いて、代謝レベルでの変動を網羅的に調べた。根粒の炭素代謝はスクロースからスクロース合成酵素によりUDP-グルコース、グルコース1リン酸、解糖系を通り炭素が代謝される。Asppc形質転換体における細胞内の炭素化合物蓄積物を測定した。その結果、根粒内のスクロース濃度が高くなり、一方スクロース合成酵素活性が低下していた。一方、非形質転換体地上部葉のスクロース含量は経時的に増加するが形質転換体では顕著な増加が見られなかった。また、Asppc形質転換体のG6PDHや6PGDH活性は非形質転換体と変わらなかつたことからペントースリン酸経路には直接関与していないことが判明した。以上の結果、マメ科植物では窒素固定活性の低下により根粒内でのスクロース代謝の制御が行われていることが明らかとなった。特にスクロース合成酵素が鍵酵素となり根粒側の炭素利用を制御していることが判明した。
すべて 2006
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