森林土壌におけるエステル硫酸態イオウの保持機構を調査した。まずエステル硫酸態イオウは土壌中の金属酸化物に吸着されているという仮説をたて、吸着実験を行ったが、吸着等温線は得られなかった。この結果は鉄酸化物の存在が土壌中でのエステル硫酸態イオウの保持に寄与するものの、単純な吸着反応では説明できない可能性があることを示す。また、エステル硫酸態イオウは従来の測定法では過剰評価になる恐れが最近になって欧州で指摘されたため、その測定法を改良し、土壌における貯留量を再評価した。その結果、エステル硫酸態イオウは全イオウの2〜3割程度を占める主要画分であることには変わりがなく、腐植金属複合体中に含まれ、土壌中に安定して存在していると考えられた。
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