今年度は、ヒト乳児糞便由来のLactobacillus gasseri LA39により生産される環状バクテリオシン(ガセリシンA)の構造遺伝子および関連遺伝子群の全塩基配列を解明し、最小発現領域決定のために発現ベクターを構築後、L.gasseri基準株へのホモ発現を行った。はじめに、構造遺伝子の周辺領域より上流および下流の領域をプライマーウォーキング法を用いて解読し、その全塩基配列(約9kbp)を決定後、ホモロージー解析を行ったところ、ガセリシンAオペロンは約3.5kbpの最大で7つのORFから構成されていることが判明した。次いで、全オペロンと上流のORFを欠損させたオペロン領域、および推定自己免疫遺伝子(gaaI)をそれぞれ、オランダフローニンゲン大学で作成された発現ベクター(pIL253-P32)に組み込み、L.gasseri基準株にエレクトロポレーションした。導入配列によっては不成功もあったが、L.gasseriが基準株にて、gaaIを発現させると、pIL253-P32のみを導入した対照の基準株よりおよそ8倍以上のガセリシンA抵抗性を示したことから、gaaIは自己免疫遺伝子であると同定された。なお、導入株からのバクテリオシン活性を通した活性発現最小領域については現在確認中である。
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