研究概要 |
Streptomyces coelicolor A3(2) M145株で発見されたキチンオリゴ糖のABC輸送系をコードすると考えられる遺伝子群cbiEFGの生物学的機能とその発現制御機構を解明するため,平成17年度には下記の事柄を行った。 1.組換えCbiEタンパク質の高発現系の構築と結合特異性の決定 cbiE遺伝子はABC輸送系の受容体タンパク質をコードすると推定された。そこで,CbiEタンパク質の生化学特性を明らかにするため,アミノ末端にヒスチジンタグを付加した組換えCbiEタンパク質の大腸菌での過剰発現系を構築し,精製した。表面プラズモン共鳴装置によって,CbiEタンパク質の結合特性を解析した(大阪薬科大学・辻坊裕教授の研究協力)。その結果,CbiEタンパク質がキチンオリゴ糖に特異的に結合することが明らかとなった。本結果からcbiEFG遺伝子群がキチンオリゴ糖の輸送系に関与することが強く示唆された。 2.cbiE超遺伝子の発現制御の解析 RT-PCR法によってcbiE遺伝子の発現制御現象を転写レベルで解析した。その結果,cbiE遺伝子は,グルコース,N-アセチルグルコサミン,グルコサミンなどの単糖では転写が誘導されなかったが,キチンオリゴ糖の存在下で転写が強く誘導されることが明らかとなった。 3.CbiRタンパク質の高発現系の構築とDNA結合能の解析. cbiEFGクラスターの上流に逆向きに存在する遺伝子cbiRについて,その産物であるCbiRタンパク質を可溶性タンパク質として大腸菌で過剰発現することに成功し,精製した.得られたCbiRタンパク質を用いて,ゲルシフトアッセイを行った結果,CbiEタンパク質がcbiEFG遺伝子のプロモーター近傍に結合することが明らかとなった。
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