白色腐朽菌アラゲカワラタケから抽出した全DNAを鋳型とし、グリセルアルデヒド-3-リン酸脱水素酵素(gpd)遺伝子のプロモーター、第一エキソン、第一イントロン、第二エキソンの一部を含む領域をPCR法により増幅した。この配列中に含まれるgpd遺伝子の開始コドンATGをTTGにする変異をミスマッチプライマーPCR法により導入し、開始コドンの上流にイントロンを含む改良型プロモーターを作成した。続いて、どの読み枠でも終止コドンとして機能するマルチフレームストッパーTAGTTAGTTAG(下線部が終止コドン)を合成した後、下流にPCR法で増幅した第一エキソン、第一イントロン、第二エキソンの一部を、さらにその下流にシイタケ由来のLe.PriAターミネーター配列を連結し、終止コドンの下流にイントロンを含む改良型ターミネーターを作成した。前述の改良型プロモーター、ターミネーター配列をアラゲカワタケのARG1を選択マーカーとしてもつプラスミドpUCR1に挿入し、改良型プロモーター-リグニンペルオキシダーゼcDNA配列(LiPcDNA)-Le.priAターミネーターから成る発現系を持つ発現プラスミド及びgpdプロモーター-LiPcDNA-改良型ターミネーターから成る発現系を持つ発現プラスミドを構築した。これらのプラスミドをプロトプラスト法により、アラゲカワラタケのアルギニン要求性株に導入し、ARG1遺伝子を選択マーカーとして形質転換株を選択した。得られた形質転換株が改良型発現系を染色体上に保持しているか否かについて、得られた株から抽出した全DNAを鋳型としたPCR法による多型解析を行い、必要があれば多型解析の際に得られたDNA断片について塩基配列を解析し、改良型発現系が染色体上に完全な形で保持された形質転換株の確認を行った。
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