BT A11OO株由来の精製Parasporinから部分配列情報を得、本タンパク質の遺伝子クローニングを行った。その結果、構造遺伝子全長920bpを含む約3.4kbの遺伝子断片を取得した。現在BT由来の細胞認識・破壊タンパク質は配列の相同性からParasporin1から4の4種類に分類されているが、本タンパク質はこれらのいずれとも異なる全く新規なParasporinであることが明らかとなった。また、相同性検索の結果においてもデータベース上に相同性を示すタンパク質の情報は得られなかった。本タンパク質は約34kDaの前駆体タンパク質として発現され、ProteinaseKの作用によりC末端側約4kDaがプロセシングされではじめて細胞破壊活性を示すことが明らかとなった。また、本タンパク質の構造遺伝子の上流にはBacillus anthracisのキチン結合タンパク質と51.3%の相同性を示す遺伝子が存在し、Parasporin遺伝子とオペロン構造をとっていることが示され、本タンパク質と何らかの相関があることが示唆された。次に、本タンパク質の大腸菌による発現を行った。宿主発現系に大腸菌BL21(DE3)とpET32bを用い、前駆体タンパク質として発現を行った。その結果、目的タンパク質は封入体として発現されたため、尿素による可溶化と段階的透析による尿素除去によりリフォールディンゲを行った。この組換えタンパク質をProteinaseK処理することにより、白血病細胞であるmolt-4に対して細胞の破壊活性を確認した。しかしながら、活性型として発現させたタンパク質には細胞破壊活性は確認できなかった。
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