研究概要 |
本年度はRhodococcus属細菌の宿主・ベクター系とタンパク質発現プロモーターを利用し、5種の芳香環ジオキシゲナーゼ遺伝子の高発現組換え体を構築した。最初に、ジベンゾフラン資化性放線菌Terrabacter sp.YK3株由来のdfdA1-A4遺伝子を、Rhodococcus sp.YK2株より単離した構成的発現プロモーターP_<dfdB>下流に連結し、Rhodococcus-Escherichia coliシャトルベクターpRK401に組み込んだ。R.erythropolisの標準株等の各種Rhodococcus属細菌株にDfdA発現組換え体を導入し、形質転換株休止菌体によるジベンゾフランの変換活性を解析した結果、比較的良好な変換活性を示したRhodococcus sp.RD2株を以後の宿主として使用した。続いて、ジベンゾフランまたはビフェニル資化性放線菌に由来する他の4種の芳香環ジオキシゲナーゼ遺伝子(dbfA1A2,bdhA1-A4_<pTB1>,bphA1-A4_<pTT45>,bphA1-A4_<K37>)の発現組換え体を同様に構築し、RD2株の形質転換株によるジベンゾフランまたはビフェニルの変換能を解析した。今回解析に用いた三種のbphA遺伝子は、これまでに大腸菌を宿主とするタンパク質発現系において活性発現できなかったが、本研究で構築したRhodococcus属細菌を宿主とする発現系を用いることで、これらがジベンゾフラン及びビフェニルの変換能を有することが明らかにされた。次いで、これら発現組換え体の休止菌体による各種芳香族化合物の変換能を解析し、DfdA,BphA_<pTB1>及びBphA_<K37>の三種がジベンゾフランやビフェニルのみならず、多様な芳香族化合物にもアタックできることを示した。今後これらの塩素化ダイオキシン類の変換能を明らかにしていく。
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