TNF Receptor(TNFR)にTNFαが結合すると、TAK1、IKKが順に活性化され、NF-κBの活性化が起きるが、これは"細胞生存"のシグナルとして働く。このNF-κBの活性化にはReceptor-Interacting Protein-1(RIP-1)が必須であり、RIP-1のユビキチン化が重要な役割を持っていることが示唆されている。一方で、TNFシグナルはcaspase-8の活性化によるアポトーシスを誘導することが知られている。しかし、この相反する2つのシグナルの選択機構は不明である。まず、RIP-1の発現プラスミドをクローニングし、RIP-1変異プラスミドを作成した。これらを293細胞に過剰発現させたところ、RIP-1のキナーゼ活性、coiled-coil様ドメイン、Death DomainのいずれもNF-κBの活性化とRIP-1のユビキチン化に必要がないことが示唆された。また、RIP-1の下流で活性化されるNF-κBは抗アポトーシス遺伝子群の発現を誘導する。HL-60細胞をTNFαで刺激した場合、抗アポトーシス遺伝子の一つであるFLICE inhibitory protein s(FLIPs)の発現が誘導されることを見出した。しかも、FLIPsはNF-κBを強力に活性化することを発見した。これは、RIP-1の下流で"生"のシグナルが増強されていることを示唆している。現在、FLIPsとRIP-1との関わり等を検討している。一方、RIP-1を293細胞に過剰発現させ、caspase-8に結合する因子として、少なくともRIP-1とFADDを確認した。さらに、このRIP-1はユビキチン化されていることがわかり、その意義を検討中である。
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