GH54アラビノフラノシダーゼのアラビノース結合ドメイン(CBM42)の結合サイトの構造・機能解析を行った。今年度は、不溶性基質に対する動力学解析を行った結果、結合サイトの破壊変異体では著しく反応速度が低下することが明らかになった。また、各種の糖質との阻害実験、フロンタルアフィニティクロマトグラフィー測定、アラビノオリゴ糖との複合体の結晶構造解析から、CBM42が基質アラビノキシランのアラビノフラノース側鎖に特異的に結合することが明らかになった(Biochem.J.誌に掲載)。 GH94セロビオースボスホリラーゼでは、昨年度までに決定した2種類の複合体構造(Biochem.J.誌に掲載)を基に分子モデリングを行い、活性中心付近の残基を置換した変異体を約30種類作成した。その中から、ラクトース分解活性が約2倍に向上した変異体が得られた。反応産物にガラクトース1リン酸を確認したことから、この変異体はサブサイト-1にガラクトースを結合できる能力が高いと考えられる(論文執筆中)。 その他の、特異な基質認識機構を有する酵素として、白色腐朽菌由来β-グルコシダーゼの結晶構造を決定した。白色腐朽菌は木材を分解する酵素を多数分泌する菌として有名であるが、本酵素は菌体内に存在し、バイオマス分解産物の資化およびその他の配糖体の分解に関わると考えられている。本酵素の結晶構造から、サブサイト+1が既知のβ-グルコシダーゼと全く異なることが明らかになり、特異な基質認識機構が解明された(FEBS.Lett.誌に掲載)。 なお、本課題はこれで最終年度になるため、本課題の成果を中心にまとめた総説を発表予定である(J.Appl.Glycosci.誌で印刷中。2007年度54巻2号に掲載予定)。
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