2003年、申請者らにより、SUMO化はPPAR-γの活性を負に制御しているが、SUMOのE3リガーゼであるPIASの過剰発現により、逆にPPAR-γの標的遺伝子からの転写は促進されることが明らかにされた。これは脂肪細胞の分化においてSUMO化を介したより複雑な制御機構があることを予想させる。そこで、本年度の実施計画の第一の目的として、細胞内のSUMO化状態を強制的に制御することにより、PPAR-γの活性亢進におけるSUMO化の役割とその標的遺伝子の同定を試み、以下の結果を得た。 1、PPAR-γの活性亢進に重要な細胞内タンパク質として、PMLを同定した。 2、PMLによる活性化には、PML内に存在する3カ所のSUMO化リジン残基が重要であり、これらのリジン残基をアルギニン残基に置換した変異体PMLでは、活性の上昇効果は全く認められなかった。 3、PMLのSUMO化によって、PPAR-γの活性が上昇する分子機構として、SUMO化されたPMLに特異的に相互作用するPPAR-γのコリプレッサーRIP140を見出した。 4、SUMO化されたPMLにより、PPAR-γとRIP140の相互作用が減少する一方、PPAR-γのコアクチベーター群との相互作用は増強した。
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