研究課題
酸素は生命活動に必須であるが、代謝の過程で、反応性の高い活性酸素種(O_2^-、H_2O_2、・OH等)を生成する。そして、それらが生体分子を攻撃し、老化など、種々の生命機能の劣化を引き起こす。活性酸素の消去に関わる遺伝子としては、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ等が知られているが、実際の活性酸素の発生/消去機構は複雑で、詳細は明らかになっていない。そこで、それらに関与する遺伝子を明らかにするために、線虫Caenorhabditis elegansや、酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて、様々な活性酸素感受性変異体を単離し、酸化ストレスと寿命の解析を行う。1.線虫変異体oxy-4は、高濃度酸素下(60-90%酸素)で生育出来ず、寿命は野性型よりも短い。これらの変異体を詳細に解析し、oxy-4遺伝子を、3番染色体上の非常に狭い領域にマップした。そこで、その領域に存在するコスミドDNAを、マイクロインジェクション法により変異体に導入したところ、あるDNAクローンが活性酸素感受性をほぼ完全に相補することを見いだした。そこで、現在、コスミドを制限酵素で切断した後、種々のコンストラクトを作成し、領域を狭めている。2.酵母に酸化ストレス耐性を付与出来る遺伝子として単離した3種類の酵母遺伝子のうち、2種類は転写因子に関係する遺伝子であった。従って、これら遺伝子は、様々なストレス関連遺伝子の発現を変化させることにより、酵母に酸化ストレス耐性をもたらしている可能性が高い。そこで、既知の抗酸化酵素であるSODやカタラーゼ等の発現を調べたが、これらの抗酸化酵素の発現は影響を受けていなかった。現在、これらを欠損させた酵母株を作成し、酸化ストレス耐性に、これらの既知抗酸化酵素が関与しているかどうかを調べている。
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