研究課題
発光前、発光後での光標識部位の解析により、トビイカ発光タンパク(シンプレクチン)の活性中心の動的変化を明らかにすることを目的とした。すでに確立したデヒドロセレンテラジン(DCT)の効率的合成法を活用して、タンデム型溝呂木-Heck反応・鈴木-宮浦反応によりビオチン基と光親和性基を一気に導入した光親和性DCTの合成を試みた。その結果、一段階導入には基質の反応性の制約が多く、数段階を要したアジド基導入が確実に合成できることが判明した。トビイカより抽出した発光タンパク(シンプレクチン)よりアポ形シンプレクチンを調製し、光親和性DCTを取り込ませた結果、天然型の約40%の活性を示した。トビイカ発光タンパクのモデルとして、入手容易なオワンクラゲ発光タンパク(エクオリン)を用いて、光標識実験を行った。光親和性基セレンテラジン(CT)をアポタンパクへ取り込ませて再構成エクオリンを調製した後、光照射して活性中心のアミノ酸とCTとを共有結合させた。光標識エクオリンをトリプシン(プロテアーゼ)で消化し、ペプチドへと断片化した。光標識ペプチドをNano-LC-Q-TOF型質量分析装置およびイオントラップ型質量分析装置にてMSおよびMS/MS解析した結果、エクオリン中でアジド基の近傍にあるメチオニン残基を含んだペプチド鎖のみが、検出されなくなることが判明した。これは、光標識実験が成功したことの証明であり、現在、光反応によりこのメチオニン残基を含んだペプチド断片がどのように変化したのかを追跡している。また、これらの成果を元に、トビイカでの光標識実験も平行して行っている。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
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