研究概要 |
我々はこれまでに、牛脳から抽出したプラズマローゲンのラットへの投与において、プラズマローゲンが吸収されリンパ中に放出されること、また、長期摂取によって血中、肝臓中のプラズマローゲン量が増加することを示してきた。今年度はプラズマローゲンの新たなソースとして、脂肪酸組成に特徴のある海産物に注目し、キヒトデリン脂質を抽出、その中のプラズマローゲンの吸収を検討した。ヒトデから抽出した粗リン脂質中のプラズマローゲン含量は15%で,牛脳とほぼ同程度の含有率であった。リンパへのプラズマローゲン放出量の増加は、ヒトデリン脂質投与群で、牛脳リン脂質投与群に比べ1.5倍程度高かった。リンパの脂肪酸組成については投与した粗リン脂質の脂肪酸組成の影響を強く受けていた。これより、プラズマローゲンの供給源の一つとして、ヒトデの利用が考えられる。また、プラズマローゲンは嫌気性微生物にも存在していることが知られており、今回はさらにその供給源としてラット盲腸内腸内細菌に注目して実験を行った。ブリーダー、系統の異なるラット(日本クレアSD系、または日本SLC Wistar-ST系)に3%の難消化性糖類(difructose anhydride III、maltitol、melibiose、cellobiose、fructooligosaccharide)を添加した飼料を4週間または8週間与えた。日本SLCのWistar-STラットの8週間飼育において、melibiose摂取群で他の群に比べ有意に盲腸内容物中プラズマローゲン量が増加した。DGGE法による菌叢解析パターンも顕著に異なり、DNAシークエンスの結果、melibiose摂取群ではBifidobacterium sp.とbutyrate-producing bacteriumが多かった。
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