小腸には複数種のアクアポリン(AQP)が発現することが知られているが、発現の網羅的解析はなされていない。また、小腸を構成する各細胞種が発現するAQPのレパートリーも明らかにはなっていない。小腸におけるAQPの生理機能を明らかにするためには、まず、これらの解析を行うことが必要である。そこで、平成17年度は、マウス小腸に発現するAQPの網羅的な解析と、各AQPの発現様式を詳細に明らかにすることを試みた。 マウス小腸を十二指腸、空腸、回腸の3つの部位に分け、それぞれの部位からtotal RNAを抽出し、既知の13種のAQPサブタイプの各々に特異的なプライマーを用いて、RT-PCRを行って、それぞれの部位に発現するAQPサブタイプを解析した。その結果、十二指腸が8種、空腸および回腸が7種のAQPサブタイプを発現していることが明らかとなった。また、空腸および回腸は同種のAQPサブタイプを発現していること、および、十二指腸はそれらのサブタイプに加え、AQP5を発現していることが示された。 In situハイブリダイゼーションによって、3部位での各AQPの発現様式を解析したところ、その発現は粘膜上皮の細胞にほぼ特異的であった。各AQPはそれぞれ異なる発現様式を示した。現在、この結果について入念に検討を行っている。 また、小腸粘膜上皮を構成する各細胞種を同定するためのマーカー遺伝子と各AQPとの二重in situハイブリダイゼーションを行って、小腸粘膜上皮が発現するAQPレパートリーの解明を試みている。
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