研究概要 |
小腸には複数種のアクアポリン(AQP)が発現することが知られているが、発現の網羅的解析はなされていない。また、小腸を構成する各細胞種が発現するAQPのレパートリーも明らかにはなっていない。小腸におけるAQPの生理機能を明らかにするためには、まず、これらの解析を行うことが必要である。そこで、マウス小腸に発現するAQPの網羅的な解析と、各AQPの発現様式を詳細に明らかにすることを試みた。 その結果、十二指腸が8種、空腸および回腸が7種のAQPサブタイプを発現していることが明らかとなった。また、空腸および回腸は同種のAQPサブタイプを発現していること、および、十二指腸はそれらのサブタイプに加え、AQP5を発現していることが示された。 In situハイブリダイゼーションによって、3部位での各AQPの発現様式を解析したところ、その発現は粘膜上皮の細胞にほぼ特異的であった。各AQPはそれぞれ異なる発現様式を示した。十二指腸特異的なAQP5は十二指腸腺に発現していた。小腸粘膜上皮を構成する各細胞種において発現するAQPの組み合わせを同定するため、各細胞種のマーカー遺伝子と各AQPとの二重in situハイブリダイゼーションを行ったところ、吸収上皮細胞にはAQP1およびAQP3が、杯細胞にはAQP3およびAQP9が、バネート細胞にはAQP1,AQP3およびAQP4が発現していた。これらの細胞においては、細胞内局在の異なるAQPが協奏的に働き、特異的な細胞機能に関与していると考えられる。
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