大豆タンパク質、イソフラボンの摂取量と脂質代謝の変動との関係を明らかにするため、今年度は脂質代謝制御機能に明確な影響を与える食餌大豆イソフラボン添加量を検討した。 カゼインをタンパク質源としたパーム油20%を含む高脂肪食に大豆由来のイソフラボンを0〜0.4%添加し、SD雄ラットを2週間飼育後、肝臓の脂質代謝系酵素の活性とmRNA量、および脂肪組織のエネルギー代謝関連因子のmRNA量を測定した。 飼育期間中の摂取エネルギー量、体重増加量はイソフラボン0.05、0.1%添加群と比べ、0.4%添加群で低かった。血清イソフラボン濃度は食餌イソフラボン添加量に比例していた。肝臓コレステロール濃度は無添加群と比較し、0.2%以上のイソフラボン添加で上昇した。肝臓SREBP2のmRNA量の変化は肝臓コレステロール濃度変化と平行していた。血清と肝臓の中性脂肪濃度には群間での差はなかった。肝臓脂肪酸合成系酵素の活性は無添加群と比較し、0.1%までは添加量に依存し、増加あるいは増加傾向を示したが、0.2%以上の添加で減少に転じた。また、脂肪酸合成系酵素のmRNA量は0.1、0.2%添加群で無添加、0.05%添加群より増加あるいは増加傾向を示したが、0.4%添加では低下傾向が見られた。食餌イソフラボン量増加に伴い、睾丸周辺脂肪組織のグルコース輸送体4(Glut4)、レプチン、リポタンパク質リパーゼのmRNA量は減少、褐色脂肪組織のGlut4、ペルオキシゾーム増殖因子活性化受容体γ1、脱共役タンパク質-1と-3のmRNA量は増加あるいは増加傾向を示した。 イソフラボンは、脂肪組織の脂質代謝関連遺伝子の発現量を変化させることが示された。肝臓脂肪酸合成系酵素の活性とmRNA発現量の変化はイソフラボンの生理作用というよりも、摂取エネルギー量の変化に起因する可能性もあり、さらなる検討が必要である。
|