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2006 年度 実績報告書

カルパインが関与する胃粘膜防御機構と食・薬剤ストレスとの関連についての解析

研究課題

研究課題/領域番号 17780115
研究機関(財)東京都医学研究機構

研究代表者

秦 勝志  (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (10392375)

キーワードカルパイン / 胃 / 胃粘膜防御 / ノックインマウス / 細胞内小胞輸送 / 多量体形成
研究概要

カルパインは、特定の基質タンパク質を限定分解し、その構造や機能を制御・修飾するモジュレータープロテアーゼで、様々な発現様式を有する14種の遺伝子がヒトに存在する。カルパインの活性不全が筋ジストロフィー症、糖尿病など種々の病態の要因になること、組織普遍的に発現するカルパイン遺伝子のノックアウトマウスは胚性致死になることから、その生理機能は多様で、非常に重要であると考えられる。これは、食物の消化・吸収という生体の構成・維持の根本を担う胃腸でも例外ではなく、現代のヒトの死因の多くを占める胃癌との関与が示唆されている。申請者は、14種の分子種のうち、胃特異的に発現する分子種nCL-2に着目し解析を開始した。その結果、昨年度までに、組織内局在解析から胃粘膜の表層粘液細胞に限定して発現することと、nCL-2のプロテアーゼ活性をもたないノックインマウス作出し、これらがストレス性の胃粘膜出血傾向にあること、nCL-2の基質としてβ-COP(輸送小胞コートタンパク質)を同定し、nCL-2がβ-COPの限定分解を通じて粘液細胞内における粘液分泌小胞・顆粒の輸送・分泌を制御している可能性を見出した。これらの生理的意義、詳細な分子機構の解明には至ってないが、本年度は、生化学的手法によりnCL-2の酵素学的性質について、(1)nCL-2は5EFハンドドメインを持つ典型的カルパインであるにも関わらず、カルパイン潜性制御サブユニット(30K,30K-2)を活性に必要としないこと、(2)nCL-2は活性の主体はモノマーであるがホモダイマーあるいはホモオリゴマーも形成しうること、(3)5EFハンドドメインではなく、C2様ドメインがnCL-2多量体形成に重要である、という興味深い知見を見出した。C2様ドメインはカルパインの膜結合に関与することが明らかにされており、nCL-2の細胞内膜系を介した多量体形成とβ-COP等の膜系タンパク質の限定分解を通じた生理機能を示唆するものである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] 「モジュレータープロテアーゼ」カルパインと細胞内膜系との新たな展開2007

    • 著者名/発表者名
      秦 勝志, 反町洋之
    • 雑誌名

      生化学 78巻・1号

      ページ: 46-50

  • [雑誌論文] Stomach-specific calpain, nCL-2, localizes in mucus cells and proteolyses the β-subunit of coatomer complex, β-COP.2006

    • 著者名/発表者名
      Hata, S et al.
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry 281巻

      ページ: 11214-11224

  • [雑誌論文] Possible functions of p94 in connectin-mediated signaling pathways in skeletal muscle cells.2006

    • 著者名/発表者名
      Ojima, K, Ono, Y, Hata, S et al.
    • 雑誌名

      Journal of Muscle Research and Cell Motility 26巻

      ページ: 409-417

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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