研究概要 |
東京大学千葉演習林にてヒメコマツの枝にがん腫症状を呈し,苗木および生立木を衰弱させる病原菌を本邦初報告となるScolecostigmina属菌の一種によるものであることを明らかにすると共に、既報の種と比較検討したところ,該当する種が存在しないことから,新種であると判断した。この成果は日本植物病理学会関東部会大会(2005年9月15日,於東京農工大学)にて、「五葉マツ類かさぶたがんしゅ病(新称)-病原菌の形態と所属-」として講演した。 次に、熊本県菊池市及び宮崎県にて発生したスギ列イボ病菌の所属の再検討を、現地採集標本および森林総合研究所にて保存されていた千葉県、愛知県など多数の標本を用いて行うと共に、岩手大学にて基準標本を検討したところ、これまで所属が広義Cercospora属とされていた病原菌をDistocercospora属菌に転属することが適切であると判断した。一方、三重県美杉村で発生が確認された葉枯症状に関連する菌類としてCorynespora属菌を見出し、これが、Corynespora属菌の新種であることを確認した。さらに日本各地で調査検討を進めたところ、熊本県、富山県で本菌を確認し、病害拡大の様相を呈していた。これらの成果は2006年4月2日に東京農大で開催される日本森林学会にて、「新たに発生したスギの葉枯症状に関与する2種の菌類」のタイトルで講演する。以上をまとめると、本年は2新種、1転属種を見出し、1学会において講演を行った。
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