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2006 年度 実績報告書

渓流に対する落葉供給源解明のための落葉移動距離の推定

研究課題

研究課題/領域番号 17780133
研究機関独立行政法人森林総合研究所

研究代表者

阿部 俊夫  独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 主任研究員 (10353559)

キーワード落葉移動 / 散布モデル / 風速 / 林床植生 / 渓畔林 / 緩衝林帯 / 小川群落保護林 / クリ
研究概要

渓流への落葉安定供給のために、どの程度の幅の渓畔林を保全すべきかを評価するためには、落葉の移動距離を解明する必要がある。以前の課題において、落葉移動距離の推定手法を提案したが、モデルの十分な検証が出来ていないなどの問題が残った。本課題では、以前に提案したモデルをベースに、落葉移動距離推定手法の開発を目指した。
調査は、小川群落保護林にある渓流の左右の斜面を用いた。クリが1本ずつ生育しており、クリ落葉をトレーサーとして移動距離を計測することが可能である。落葉の移動は、樹冠から落下する際の移動と林床上での再移動の2プロセスに分けられるが、いずれも風が重要な営力と考えられる。以前の研究から、斜面により風の吹き方が異なると予想されたため、谷底にある既存のタワーのほか、両斜面上にもタワーを建設し風速測定を行った。クリ落葉の観測は、調査対象木から放射状に3方向(いずれも下り勾配)にリタートラップおよび林床コドラートを配置し行った。
落下時の移動に関しては、クリ落葉は、以前と同様に、大部分が10〜15m以内に落下していた。モデルによる推定は、左岸側斜面では、3方向すべてにおいて推定結果が観測データとよく合致した(樹冠近傍は除く)。前回、結果の芳しくなかった右岸側は,いまだ満足のいく結果ではないものの,今回,斜面上の風速データを用いたことで,ある程度の改善が認められた。右岸側については、モデル自体というよりも、観測データの精度等に問題があるものと推察された。全体としてみると,本モデルの有効性は確かめられたといえる。
林床での移動については、以前の研究で明かになった主風向や林床植生だけではなく、斜面ごとの風の発生頻度が落葉移動に影響することが分かった。山地のように局所的に風の吹き方が変わる場所では、風の頻度を説明変量に加えることで、移動距離の推定精度を向上させられると考えられる。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件)

  • [雑誌論文] 渓流に対する有機物供給源としての渓畔林の機能評価2007

    • 著者名/発表者名
      阿部俊夫
    • 雑誌名

      渓畔林の環境保全機能の解析と評価手法の開発調査(森林総研交付金プロジェクト成果集)

      ページ: 64-82

  • [雑誌論文] 風速変動を考慮した落葉散布モデルに関する検証-小川群落保護林の2005年クリ落葉データから-2007

    • 著者名/発表者名
      阿部俊夫
    • 雑誌名

      日本生態学会講演要旨集 54

      ページ: 264

  • [雑誌論文] 冬期の林床面における落葉の移動距離2006

    • 著者名/発表者名
      阿部俊夫
    • 雑誌名

      日本森林学会学術講演集 117

      ページ: PD22

  • [雑誌論文] 森林の魚つき機能2006

    • 著者名/発表者名
      阿部俊夫
    • 雑誌名

      しんりんほぜん 101(60)

      ページ: 11-14

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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