Cry j 1遺伝子のSSCP分析及びダイレクトシーケンスの結果から、シグナル配列をコードする63塩基においてアミノ酸置換に関与する塩基置換2ヶ所、同義置換1ヶ所が検出された。成熟Cry j 1をコードする1059塩基のうち、アミノ酸置換に関与する塩基置換が11ヶ所、同義置換が22ヶ所検出された。このうち、アミノ酸置換に関与する13ヶ所、同義置換12ヶ所について、ダイレクトシーケンス及びSNP(single nucleotide polymorphysm)分析により精英樹267クローンの遺伝子型を決定した。その結果、アミノ酸置換に関与する塩基置換のうち頻度が高い(>5%)ものは4ヶ所、1〜5%のものは2ヶ所であり、それ以外の7ヶ所は1%以下と頻度が低かった。頻度が1%以上の6ヶ所の塩基置換について、ハプロタイプ推定ソフトPhase2.1.1を使用し、九州、関西、関東、東北育種基本区ごとにハプロタイプの頻度を推定した。その結果、最も頻度の高いハプロタイプはすべての育種基本区で共通しており、関西、関東、東北育種基本区ではこのハプロタイプが50%以上を占めることが明らかになった。また、頻度の低い塩基置換も地域特異的ではなく、全国に散見される傾向にあった。一方、Cry j 2遺伝子は、10のイントロンで分断された11エキソンにより構成されていることが明らかになった。このうち第1、第5、第9、第11エキソンについてSSCPマーカーを設計し、精英樹267クローンを分析した結果、それぞれ4、3、2、6種類の対立遺伝子が検出された。また、第7及び第8エキソンを含む領域について、190クローンを対象にダイレクトシーケンスを行い塩基配列を比較したが、アミノ酸置換に関与する塩基置換は検出されなかった。
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