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2006 年度 実績報告書

発生期で変動パターンが異なるスルメイカ資源変動機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 17780145
研究機関北海道大学

研究代表者

山本 潤  北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助手 (10292004)

キーワードスルメイカ / 資源変動 / 生活史初期 / 幼生
研究概要

本研究では,本種の秋および冬発生群の示す資源変動パターンが,"再生産時期の秋から冬にかけての冷却の進行と,経年的な冬季の冷却強度が卵塊・ふ化幼生の生残に影響する"との見地に立ち,スルメイカの資源変動のメカニズムを解明することを目的として実施した.今年度では,これまでのスルメイカの生活史における知見(ふ化幼生の正常遊泳水温範囲,産卵海域の水深,海洋構造との関係)を基に,衛星画像,気象データ,海底地形データより,スルメイカ幼生の生残海域を,地理情報システム(GIS)の手法を用いて,主産卵場である東シナ海における,10月から3月までの当該海域の空間的,時間的な変化を解析した。その概略は,
・東シナ海では,10月から3月にかけて季節風の速度の増加とともに気温が下がり,海面を冷却している
・ふ化幼生の生残可能海域は,秋生まれ群が発生する10月から11月までは対馬暖流の影響下の東シナ海の陸棚上にあり,冬生まれ群が発生する1月から3月までは,黒潮が卓越する黒潮の影響下にある
・秋生まれ群,冬生まれ群は,対馬暖流と黒潮の二つの輸送経路に分かれるかを解明。
・結果的に,本種はこの輸送経路の切り替わりによって,生残に不適な生物・物理環境への輸送,索餌,被食などを分散させる,bed-hedging戦略をとっていること。
これらの結果は,現在,国際雑誌Marine Biologyに投稿し,現在査読中である。
また,本結果にくわえ,本種の秋生まれ群の産卵期には近年,大型クラゲが異常発生し,本種の幼生を捕食している可能性が考えられる。今後,大型クラゲもよる捕食圧も考慮に入れ,一般加法モデルを用いて本種の資源変動のメカニズムを解明する計画である。

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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