研究課題
本年度は、1)酵母のミュータントレスキューを用いたスサビノリ遺伝子の機能解析系の確立、2)スサビノリの発現ベクターの開発、および3)交雑実験に向けた突然変異体の作出を行なった。【方法】1)に関しては、酵母のARG1欠損株にスサビノリ由来のホモログ遺伝子(PyARG1)を導入することにより、変異株のレスキューを試みた。2)については、昨年度の研究成果である8種類の遺伝子のプロモータ領域の塩基配列情報およびweb上のデータベースで公開しているEST情報を用いて、遺伝子のプロモータ領域と開始コドンを含むDNA断片をPCRで増幅し、クローニングを行なった。3)に関しては、異なる培養条件下による野生株の表現形質の可塑性の精査と新たな色彩変異株の作出を試みた。【結果】1)について、PyARG1の導入により、酵母変異株は選択培地上での生育が可能になり、スサビノリの遺伝子はコドンの改変などをせずに変異株の機能補完を行えることが示された。このことにより、酵母を用いたスサビノリ遺伝子の機能解析手法が確立された。2)については、5種類のプロモータ領域と開始コドンを含むDNA断片のクローニングに成功し、現在までのところ、それぞれ4つずつのクローンを得ている。3)に関しては、通常の培養条件に用いられる光条件(60-100 μE/m^2/s)の範囲では、多くの場合光合成色素の含有量に差が生じることが示されたが、変異株における色素含有量はこれらの幅には含まれないことが明らかになり、色彩変異体確率のための基準を設けることに成功した。また、化学変異剤MNNGを用いて、新規緑色変異株であるMBG株を得ることができた。
すべて 2006
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