1.Lactobacillus rhamnosus GG (LGG)投与期間中の糞中細菌数の推移 投与したLGGがティラピア腸管に生きて到達し、それが定着するか、また、総細菌数に影響を与えるかを定期的に糞を採集して培養法で調べた。LGGは、投与後から糞中より分離され、一ヶ月の投与期間を通して菌数は安定していた(10^7 CFU/g)。しかし、投与終了10日後には、LGGは糞から検出されなくなり、定着は認められなかった。また、LGGを投与しても糞中総菌体数は安定しており(10^8 CFU/g)、コントロール区との間に違い認められなかった。 2.LGG投与によるティラピアの抗病性向上効果 LGGがティラピアの抗病性に与える影響を各種免疫指標を測定して検討した。また、Edwardsiella tarda攻撃試験後の生残率および組織学的検討を行った。頭腎白血球の貪食能はコントロール区に対して差異は認められなかったが、活性酸素産生量は有意に上昇した。また、血清補体価は有意に上昇した。感染実験の生残率はLGG区は95%であったのに対してコントロール区では40%であり、有意に高かった。組織学的には、頭腎で感染初期から膿瘍の形成が認められ、このような免疫反応が生残率の向上に影響していることが推察された。 3.LGGとワクチンとの併用効果 LGG投与とワクチンを併用した場合のアジュバント効果についてE.tardaの感染実験により検討した。LGGとワクチン併用区(GG10-V区)はLGG投与区(GG10区)およびコントロール区(C区)よりも凝集抗体価は250倍以上高かったが、ワクチン区(C-V区)とは差が認められなかった。また生残率はGG-10V区、GG10区、C-V区、C区でそれぞれ、87.7%、25%、40%、0%であった。これらのことから、LGG投与はワクチン効果を高める強いアジュバント活性を持つことが確認された。
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