本課題では、マガキ濾胞細胞でのビテロジェニン産生がエストロゲンにより調節される機構について、エストロゲンレセプターがどのように関わっているかを明らかにすることを目的とした。マガキ組織へのエストロゲンの投与実験を行い、ビテロジェニン合成におけるエストロゲンの関与及びレセプターの介在について検討を行った。 投与実験によるビテロジェニンmRNA発現量の解析では、濾胞細胞を含む卵巣組織を用いた培養系にエストロゲン等を添加した。培養条件について検討し、20℃で48時間インキュベートした後、発現量を測定した。添加するエストロゲン濃度は10^<-7>Mに設定した。エストロゲン投与によるビテロジェニンの誘導はエストロゲンレセプターを介しているかを明らかにするため、実験区はエストロゲン投与区、エストロゲン+アンタゴニスト投与区、アンタゴニスト投与区、コントロール区を設定した。これら各実験区におけるビテロジェニンmRNA発現量を定量PCRにより測定し、比較した。その結果、ビテロジェニンmRNA量はエストロゲン投与区ではコントロール区に比べて有意に高く、エストロゲン+アンタゴニスト投与区ではその増加は有意に抑えられた。アンタゴニスト投与区ではコントロール区と同程度であった。以上のことから、マガキのビテロジェニン合成はエストロゲンによりコントロールされていることが示され、これはエストロゲンレセプターを介したものであることが示唆された。
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