平成17年度には、日本向けの野菜輸出産地である中国山東省の青島・煙台地区に立地している「万福食品」(郷鎮企業型)、「北海食品」(台湾資本型)を対象に継続調査を実施した。その内容は、2つの企業の原料調達体制の変化(中間商人の排除、大規模野菜農家との直接契約)に関するものである。これに平成12・13・15年度の3回にわたる調査の成果を合わせ、『中国野菜企業の輸出戦略-残留農薬事件の衝撃と克服過程-』(共著)(筑波書房、195頁)を編著した。 本書は5章構成となっており、その内容は以下の通りである。 まず、第1章「冷凍野菜貿易構造と残留農薬事件」では、日本の冷凍野菜貿易構造の問題点と中国産野菜の地位を明らかにし、中国産冷凍野菜をめぐる残留農薬事件の経緯をまとめた。 つぎに、第2章「事件前夜における野菜企業の原料集荷構造」では、残留農薬事件発生する以前の野菜企業による2つの類型の原料集荷構造を明らかにし、その問題点を指摘した。 また、第3章「残留農薬事件の勃発と原料集荷体制の再編」では、3つの野菜企業を取り上げ、残留農薬事件による被害および事件後の対策についてまとめた。その主な対策は原料集荷体制の再編であるが、直営農場化と大型農場化がそれである。 さらに、第4章「日本側輸入企業の対応と第三国へのシフト」では、残留農薬事件後の日本側輸入企業の対応策として中国以外の第3国(ベトナム)への生産、加工シフトの現状を明らかにした。 最後に、第5章「総括と展望」では、これまでの章節を総括し、今後の展望を行った。 本書は平成18年6月に刊行予定となっている。
|