平成18年度には、日本向けの野菜輸出産地である中国山東省の青島・煙台地区に立地している「万福食品」(郷鎮企業型)、「北海食品」(台湾資本型)を対象に継続調査を実施した。その内容は、2つの企業における2003年から2006年の期間における野菜基地管理体制の変化に関するものである。 万福食品に関しては、工場立地地区での農場撤退が著しく、また根菜類への転換が進んでいる。これに対し、比較的遠隔な地区に新設された農場は、葉茎菜類に特化してしかも農場規模が大きい。さらに、省を越えた地域には粗放な根菜類大規模基地が形成されている。この結果、産地は広域化し、従来の村民委員会依存型の集荷構造は完全に転換されている。 北海食品に関しては、遠隔地への展開は見られないが、工場立地地区での撤退が同様に進んでおり、外部展開を図りながら、大規模化とネットハウスを使用した減農薬栽培への転換が進んでいる。この企業はグループ企業であり、外延的な展開は衛星企業によって担われている。 以上のように、両企業とも残留農薬問題発生以前の家族経営と中間商人に依存した集荷構造からの転換が進み、しかも品目毎の分業が広域的に展開していることが明らかになった。
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