研究概要 |
本研究の課題は,地産地消産品に対する地域の消費者の選好を定性的,定量的に把握し,地産地消産品のマーケティング戦略を立案することである.ここで既存研究では,消費者の社会経済特性と消費者の食に対する意識の関連,社会経済変数と付加価値属性との関連を定量的に分析している研究はあるが,消費者の意識と付加価値属性の重みとの関連を直接的に分析したものがなく,また,これから得られる知見がマーケティング戦略上有益であると考えられる.そこで本年度は,第1に,地場産品である鶏肉を取り上げ,その付加価値属性と消費者の社会経済特性,意識との関連性を定量的に分析した.具体的には,鶏肉の飼育方法,飼育形態,ブランド等からプロファイルを構成した選択実験のデータに対して,社会経済特性と付加価値属性および消費者意識と付加価値属性の交互作用項を導入した多項ロジットモデルを適用した.その結果,安全意識,食味意識,価格意識と関連が強い付加価値属性を抽出することができた. また,人々の意識構造をモデリングする手法としてDEMATELがあるが,同手法では,人々の意識の不確実性を捉えることができない.そこで本年度は,第2に,この不確実性を表現するための手法として,不確実性を確率的に捉えてDEMATELを拡張した確率的DEMATELを提案した.
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