ドイツでは農業後継者確保の問題や、青少年への環境教育の必要性に関する課題解決のための一施策として、環境ボランティア研修制度(Freiwilliges Oekologisches Jahr)が実践され、有効に機能している。これは、16歳から27歳までの希望者が、1年間、農家グループや環境NPO等で、ボランティアとして作業や活動に携わり、その生活費(食費、交通費、小遣い等)の一部を連邦政府や州政府が負担するという制度である。 本研究の目的は、この環境ボランティア研修制度のシステムや運営の実態、具体的プログラム、その効果を明らかにし、わが国での応用の可能性を検討することにある。 2005年度は、バーテン・ヴュルテンベルク州における現地調査を行い、環境ボランティア研修制度のシステムや実態、その効果を明らかにした。その結果、1.制度を運用する事務局へのヒヤリング調査により同制度の経緯やシステムが明らかとなった。特に、2.環境ボランティア研修制度参加者に対するアンケート結果を入手し、その効果を明らかにできたこと、3.制度参加者による1週間のセミナーに参加でき、セミナーのプログラムを実体験できたこと、4.参加者の生の声を聞けたこと、は非常に意義深い。 また、わが国での応用を目指して、実験的授業を行い、講義形式の教育と比較し、体験型・参加型の環境教育が参加者にどのような効果を及ぼすかを明らかにした。 これらの研究成果は、2005年度日本農業経済学会での個別報告や、『産業経済研究』の論文にまとめた。
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