研究概要 |
平成18年度に実施した研究,得られた知見は以下の通りである. 【分析技術】本年度は渓流水の硝酸分析を目的としたU-MFIAオンサイト分析システムの改良を行った.現地に持ち出す前に,温度変化を想定した定量精度検証試験を行ったところ,良好な結果が得られた.カラムの寿命から,連続観測期間は1週間強であった.現地にて本システムを適用したところ,実際に洪水時の濁水となった渓流水の分析時に,微細なCu-Cd還元カラムでの10μm以下の懸濁物質による流路目詰まりが認められた.このため室内にシステムを持ち帰り,現地の洪水時渓流水を想定した濁水現地試料水を基に,検証試験を行った.この結果,カラム内のCu-Cd粒径の最小粒径を規定することで,目詰まりを回避できることがわかった.しかしながらカラム内流路径の増大とそれによる比表面積の減少のため,カラム分散の増大による検出感度の低下とカラム寿命の短命化が明らかとなった.この点については至急改良試験を追加し,再度現地に適用する計画である. 【解析】本年度はこれまで得られているデータをもとに,オンサイト分析法の構築方法とその結果についての論文発表を行った.また,海外でのモデル解析例を検討する前に,そもそも面源負荷量の推定精度に疑義が付され,その良好な推定法が求められている状況であることが明らかとなったため,この点について検討を加え,三報の論文を公表した.この結果,従来我が国で標準的に用いられているLQ式法による推定値はバイアスが大きく利用すべきでないこと,良好な推定値はBeale比推定法,良好な信頼区間はBootstrap法により推定できることを示唆した.今後,その実データに対する適用結果と,より広範な適用指針を公表する予定である.
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