研究概要 |
平成19年度に実施した研究,得られた知見は以下の通りである.【分析技術】本年度は渓流水の硝酸分析を目的としたU-MFIAオンサイト分析システムの改良と最終的な凍結等の対策を行った.硝酸分析カラムの長寿命化と目詰まり回避のための空隙等価径の増大は,検出感度の低下(溶質分散の抑制)と背反関係にあり,様々な充填剤径と充填方法を検討したものの,平均的な硝酸塩濃度が0.5ppm以下の山林渓流水では1週間程度までの寿命が限度であった.より汚濁の進んだ河川水であれば溶質分散の増大を許容できるので,必ずしもその応用途に制限が加わるものではないが,UMFIAによる硝酸塩分析は,現段階では,連続モニタリングよりはサンプリングプログラムを搭載した効率的なオートサンプラーとの組合せに適しているといえる.また凍結に対しては気温がマイナス5度までの凍結に耐え現地観測が可能となったが,それ以下では依然凍結が生ずるが,有害物質を含まない廃液を直接渓流河川に戻してやることで,通年観測が可能になると結論できる.【解析】最終年度も昨年に引き続き,面源負荷量の不偏推定について検討を加え,検討結果を学会発表した.海外で利用される汚濁負荷関連のモデルにおいても,モデルの構造や適用法それ自体よりも,この問題が需要内儀を持っているからである.本年度はBeale比推定法によってBootstrap法に基づいた区間推定を行った.これは現在最も偏りの少ない推定値を与える方法と考えられる組合せであったが,実際には十分な期待値で信頼区間を推定できないことが明らかとなった.今後,実用的な区間推定法とそれを与えるための現実的なサンプリング法の開発が,数値モデルの高度化の前に必須であり,検討が望まれる.
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