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2007 年度 実績報告書

生態系モデルによる汽水湖の環境動態予測と最適な塩分管理の対策シナリオの作成

研究課題

研究課題/領域番号 17780186
研究機関九州大学

研究代表者

原田 昌佳  九州大学, 大学院・農学研究所, 准教授 (80325000)

キーワード閉鎖性水域 / 汽水湖 / 富栄養化 / 水圏環境 / 生態系モデル / 環境動態予測 / 溶存酸素 / 貧酸素化
研究概要

東郷池の水質悪化の原因メカニズムの解明に資する基礎的研究として,低次生態系-3次元流体力学モデルを構築し,同池内の溶存酸素(DO)の動態解析を行った.
1.モデルの妥当性 構築した低次生態系-3次元流体力学モデルにより,2003年の水質観測結果の再現計算を行った.その結果,全窒素,全リン,クロロフィルa,DOの計算結果と観測結果は概ね良好に一致した.これより,パラメータ値も含め妥当な水質動態予測モデルを構築できた.
2.DOの動態解析 湖底近傍での貧酸素化の発生メカニズムを調べるために,水域に作用する風応力と関連付けてDOの変動特性を検討した.その結果,年平均風速である3m/sの風が吹送した場合,3m以深の湖底近傍で貧酸素化が生じた.一方,強風に相当する風速6m/sでは,湖全域で5mg/L以上を維持した.湖底近傍では,底泥による酸素消費と移流・拡散による酸素供給が卓越するが,年平均風速では酸素供給量よりも酸素消費量が大きく上回るために湖水の貧酸素化が生じた.一方,強風時では酸素供給量と酸素消費量が同程度であり,そのためDOの低下は見られなかった.このような違いは,平均風速時で水深2m付近に密度界面が形成されるのに対し,強風時では水塊の強い鉛直混合が生じることに起因する.
3.ヤマトシジミの生息域とDO分布 東郷池の主要な水産資源であるヤマトシジミの生息域と,湖底近傍のDOの分布特性との関連性について検討を行った.その結果,夏季において年平均風速程度の風が作用した場合に湖底近傍のDOが4〜5mg/Lである領域と現在のヤマトシジミの生息域は一致した.ヤマトシジミの生息と,年平均風速吹送時の湖底近傍のDOの分布との関連性が数値実験により確認された.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 低次生態系-3次元流体力学モデルを用いた鳥取県東郷池の溶存酸素の動態解析2008

    • 著者名/発表者名
      齋幸治, 原田昌佳, 平松和昭, 森牧人
    • 雑誌名

      農業農村工学会論文集 76(3)(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フィードバック型ニューラルネットワークモデルによる富栄養湖の溶存酸素のリアルタイム予測2007

    • 著者名/発表者名
      齋幸治, 原田昌佳, 吉田勲, 平松和昭, 森牧人
    • 雑誌名

      農業土木学会論文集 75(2)

      ページ: 47-54

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ニューラルネットワークモデルを用いた富栄養湖のクロロフィルa濃度の推定2007

    • 著者名/発表者名
      齋幸治, 原田昌佳, 吉田勲, 平松和昭, 森牧人
    • 雑誌名

      農業農村工学会論文集 75(4)

      ページ: 57-64

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 湖山池の密度成層の形成過程と破壊過程について2007

    • 著者名/発表者名
      原田昌佳, 齋幸治, 三島雅子, 吉田勲, 平松和昭, 森牧人
    • 雑誌名

      農業農村工学会論文集 75(5)

      ページ: 107-115

    • 査読あり
  • [学会発表] 富栄養湖を対象とした低次生態系-3次元流体力学モデルの構築2007

    • 著者名/発表者名
      齋幸治, 原田昌佳, 平松和昭, 森牧人
    • 学会等名
      平成19年度農業土木学会大会講演会講演要旨集
    • 発表場所
      島根県松江市
    • 年月日
      20070800

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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